推薦入試を受けるか受けないか問題

大前提:推薦入試は一般入試よりも厳しい試験である

まず大前提として理解していただきたいのは、推薦入試は一般入試よりも厳しい試験だということです。倍率だけ見ても一般入試よりも大幅に高いうえに、試験内容も面接・小論文・内申と非常に幅広いです。推薦入試対策として何をやるか、どこまでやるか、も非常に難しく明確な答えはありません。

絶対NG: 目標校のレベルを下げて推薦入試合格を狙う

私は推薦入試自体は受けたほうがよいと思いますが、以下のような使い方は絶対にやらないほうがよいと思います。

  • 推薦入試一本で合格を狙う
  • 目標校のレベルを下げて推薦入試で合格を狙う。

大前提で書いた通り、推薦入試は一般入試よりも厳しい試験です。これは難易度が高いということではなく、『準備面とメンタル面でタフな試験』という意味です。合否予測も難しいため、推薦入試一本はリスクが高く避けるべきです。

実際の学力レベルよりも少し低い高校を推薦入試で狙うケースもときどき聞きますが、これも避けるべきと思います。合否予測が難しいため、一般入試と違ってレベルを落とせば確実に合格できるというものではないためです。また、万一レベルを落とした高校の推薦に落ちてしまった場合、一般入試をどの志望校にするかの迷いが出てしまいます。推薦に落ちた高校よりも高いレベルの高校を一般入試で受験するのは、かなり大きな不安を抱えてのチャレンジになってしまいます。

目標校に2回チャレンジできると前向きにとらえる

私は、推薦入試は「目標校に2回チャレンジできる特典だ」と考えて、一般入試と同じ高校で受験するのがよいと思います。そうすることで、推薦入試にもしっかり取り組めますし、万一推薦に落ちたときも一般入試にすぐに気持ちの切り替えができると思います。

実は我が家の受験生は、推薦入試で合格できました。推薦入試対策は別の記事で書きたいと思います。

都立高校受験で大切なことは、受験当日まで努力を継続すること

『受験当日まで努力を継続する』ことは実は難しい

受験生なら当然ギリギリまで努力するのでは?と思われるかもしれませんが、実はそれがとても難しく、ごく一部の受験生しか実践できません。それは、受験までにいろんな変化が周囲と受験生自身の中で起きるからです。

模試の結果が気になり、内申点が理想通りに行かず、私立や推薦で周囲が先に進路を決め始まる。苦手科目・苦手分野がなかなか克服できずあきらめの気持ちが出てくる。そして、冬に向かうにつれて多くの中学生にとって初めての経験である『孤独な戦い』が始まります。「高校受験は結局、一人で戦わなければいけないんだ」という事実に向き合うことになります。

この事実から逃げてしまうと、「今の実力でうかるところでいいや」という妥協や、「これ以上勉強したくない(戦いたくない)」というあきらめに向かうことになります。12月後半以降は模試等が終わり、自分の学力の現在地が分かりにくい状況になります。この霧の中にいるような最後の3ヶ月間に努力を継続できるかどうか、で最後の伸びが大きく変わってくると思います。

塾に行かずに都立上位校に合格できますか?問題

塾に行かずに都立上位校に合格できますか?という問いかけをよく聞きます。我が家の長男は中3の7月から塾に通ったので、いわゆる「塾なし合格」ではないのですが、私の考えを書きたいと思います。

結論は『合格できます。その方法がその子に合っているなら。』

高校入試のための学習を何をベースに行うかは、さまざまな方法があります。塾をメインにする、通信講座(進研ゼミやZ会)をメインにする、家庭教師と進める、などがあります。「塾に行かずに勉強する」というのは、さまざまな方法の中の一つです。

子どもの性格・特性によって、何をメインにすればよいかは変わります。もし以下のよな特性・状況であれば、塾なしでも十分に戦えます。

  • 自宅でマイペースに一人で勉強することが得意。むしろ複数人の教室は気が散る。
  • 自分で計画を立てて遂行できる。
  • 勉強する内容を他人に指示されるのが嫌い。自分で問題集を見つけて難しい問題にどんどんチャレンジできる。
  • 通信教育や学校の先生から、学習に対するフィードバックを得られる。
私自身の塾なし体験

実は、長男ではなく私自身が「塾なし」で、高校入試・大学入試を乗り切りました(20年以上前の話です)。私が「塾なし」を選択した理由は、塾が「この演習をやれ」「このテキストをやれ」と指示してくるのが大嫌いだったからです。どのテキストを使うか、どの演習をやるかを、とにかく自分で決めたかったのです。中学校で配られる教科書や副教材を完璧にやって、伸ばしたい部分は本屋に行って自分で参考書・問題集を選んでやる、という風にやっていました。

ただし、塾なしの適性は上位校合格者の10人に1人

ただ、この「塾なし」で入試のための学習をできる中学生は、かなり少ないと思います。感覚的には上位校合格者のうち、10人に1人程度です。

「塾なし」のデメリットを把握する

塾なしの適性がある場合も、デメリットはしっかり把握してカバーする必要があります。塾に行かないことの、主なデメリットは以下です。

  • 家にこもりがちになる。⇒カフェや図書館など複数の勉強場所を確保する。
  • 客観的な学力把握が難しい。⇒模試をしっかり活用する。
  • 分からない問題がそのままになる。⇒相談先をつくる。先輩・スポット家庭教師などを活用。
  • ひとりよがり、偏った学習計画になる可能性。 ⇒相談先をつくる。先輩・スポット家庭教師などを活用。
  • ライバルとの切磋琢磨の機会が少ない。⇒中学校の同じレベルの子と情報交換。

上位都立高校に合格するために一日何時間勉強すべきか?問題

そもそも時間では学習量は計測できない

受験のための学習量を客観的にとらえるのはとても難しいです。例えば、コツコツ勉強量が必要な漢字の学習と、集中して理解し応用まで広げる数学の図形問題は、必要となる基礎学力・時間・集中力が全く違うからです。模試で1日5教科の問題をといた場合、時間的には5時間程度ですが頭はクタクタになると思います。対して情報整理のためにノートを作成したり暗記のためにひたすら書き写すような学習は、長時間行うことも可能です。塾や学校で授業を受けることも、比較的長時間行うことができます。

『一日xx時間勉強する』という考え方が有害

私の個人的な感覚として、取り組む内容によって1日に勉強できる時間は変わります。

本当に思考力・集中力を要する内容。ハイレベルな数学問題演習、英語長文問題演習、小論文等などは、1日3~5時間が限界だと思います。授業を受ける、動画を聞いて学習するような受け身の学習や、暗記、ノート整理は1日最大8時間程度はできると思います。

『よくネット上で○○高校に受かりたいなら、1日10時間は勉強しないと』といった言葉を見ますが、真に受けないほうがよいです。逆に1日10時間を目標にしてしまうと、集中力やひらめきを必要としない、受け身・暗記型の学習に逃げてしまうことになります。

大切なのは、決められた時間の中で「これができるようになる」という明確なイメージを持つこと

1日の勉強が終わったときに、「今日は10時間勉強した!」では意味がなく、「数学のこの単元の基礎問題は100%とけるようになった」「中二までの漢字ワークに出てきた四文字熟語は完璧」というように、『これができるようになった』と思えることが大事です。これから1時間でこれをやると決めて、高い集中力で30分で終わればそれでよいし、思った以上に時間がかかる場合は2時間に予定変更すればよいのです。

学習量を増やすために

とはいっても、やはり絶対的な学習量は必要です。それを増やすには、①高い集中力が必要な学習 ②淡々と情報を整理する学習(ノート整理) ③ひたすら暗記 ④受け身の学習(授業を受ける)をうまく組み合わせるとよいです。

休日を例にとると、朝の頭がクリアな2時間で①高い集中力が必要な学習、昼間3時間は④の受け身の学習、夕方2時間②の淡々と情報を整理する学習、寝る前1時間は③ひたすら暗記、という具合です。

繰り返しになりますが、「今日xx時間勉強した」ではなく、「今日これができるようになった」「今日、ここの範囲まで確実にものにできた」という振り返りになるように自身の学習管理をして欲しいと思います。

 

 

私立の志望校をどう考えるか

基本的には都立のすべり止めだが、東京の私立は良い学校が多い。

我が家の場合は第一志望が都立高校だったので、必然的に私立は第二志望ですべり止めの位置づけになります。私立高校はいわゆる「併願優遇」という制度があり、私立の受験校の中で第一志望(場合によっては第二志望も)であれば、内申点に応じて加点優遇されます。私立高校はしたたかに、第一志望の都立に入れなかった優秀な生徒を集めているといえます。都立上位校は競争倍率が高い(おしなべると2.0倍程度で二人に一人は落ちる)ため、リベンジに燃える優秀な生徒をうまくすくいあげているように見えます。

私立高校のいわゆる『特進クラス』は、都立上位校と同等まではいかないものの、近いレベルの進学実績を出しています。多摩地区でいうと、錦城高校、拓殖大学第一高校、八王子学園八王子高校(いずれも特進)などが該当します。

もし都立に落ちたとしても、「この私立なら納得して通える」という学校を選ぶ

すべり止めはいわゆるリスクマネジメントです。起きることもありうる、つまり第一志望の都立に落ちることもありうるんだと想定することが大事です。何が言いたいかというと、すべり止めであっても、ちゃんと「行きたい」と思える私立高校を選ぶこと。

しっかりとしたすべり止め・第二志望の高校を持つことで、落ち着いて第一志望・都立にチャレンジすることができます。「都立に落ちたら終わりだ」「第一志望以外は意味がない」という歪んだ追い込みかたをしないことが大切だと思います。

我が家も、模試会場として訪れたり、学校公開に行って某私立高校を第二志望に決めました。

中3の一学期が終わるまでに、必ず第一志望の高校を決める

第一志望の高校を決めることの大切さ

なぜ第一志望を決めることが大切か。決めないと努力しないし、決めないと本当に行きたい高校に合格できないからです。どういうことか説明します。これは志望校ぎめの失敗パターンを考えると分かりやすいです。

失敗パターン① 数うちゃ当たる作戦

偏差値や知名度・ブランドに翻弄されたり全滅の恐怖感から、都立+私立複数を受験。明確な第一志望校がなく、どっかに受かればいいやという考え方だと、どの高校の対策も中途半端な状態になります。各高校の対策のための学習は、分散するほど弱くなります。この状況を打破するためには「自分の第一志望校はどこか」を明確にするしかありません。強い集中力を生みますし、対策もじっくり行うことができます。

失敗パターン② 模試結果と内申から行けそうなとこでいいや

このパターンは結局なりゆきまかせ。模試と内申から志望校を決めるのであれば、自分を変えるための努力をしなくていいから楽ですよね。でもそれで、本気の受験生と戦えると思いますか?「行けそうな高校に行く」ということは、「チャレンジしないし努力もしない」と宣言しているに等しいです。第一志望を決めることは、楔(くさび)を打ち込むことに似ています。決めた瞬間から、その地点に到達するために必死になります。後で第一志望を変えても何の問題もありません。大切なのは、夏に入る前に、その時点で自分が行きたい地点を見据えることなのです。

中学受験には否定的です。(ただし2つのケースを除く)

中学入試に否定的な3つの理由

1.自分から受験勉強したい小学生なんていない

小学生のうちは好きなだけ遊んでほしい。スポーツや習いごとも良いと思います。入試問題を解くための勉強に本質的な楽しみを見出す小学生はいないと思います。もっと楽しいことの本質に近いところで活動してほしいです。例えばゲームで高得点を出したり、パズルや謎解きをやったり、漫画や小説を読んだり、創作したり。いろんなことにチャレンジする、心の赴くままにやる、そういう貴重な時間を受験勉強はつぶしてしまうと思います。

2.親の不安解消が目的になっている

中学入試をするご家庭の親御さんの本音として多いのが、「高校入試や大学入試で苦労させたくない。だから他の子に先んじるために中学入試からやる」だと思います。お子さんのことを一人の人間として見ていないし、信じていないと感じます。お子さんが自分で進路を決める機会を奪っていませんか?お子さんが目標を決め、努力し、失敗するかもしれないギリギリのチャレンジをして人間的に成長する機会を奪っていませんか?と聞きたいです。

3.中学校で『いろんな人』と触れ合う機会が減る

公立中学校は地域にもよりますが本当にいろんな生徒、保護者、先生がいます。合う人と合わない人がもちろんいます。とにかく多様な価値観に触れることができるのです。そしてその中に勉強が得意な子ももちろんいて、東大だろうが医学部だろうが努力すれば進む道がちゃんとあるのです。私立中学の生徒にもある程度の多様性はあると思いますが、どうしても近い学力、家庭環境の子供が多くなるのではないかと思います。これから社会の中で「生きる力」を身につけるために、中学校で多様な価値観を知り、自分の特性や得意分野を知ることはとても大きな意味があると思います。

中学受験すべき2つのケース

ただ以下の2ケースの場合は中学受験すべき、もしくは中学受験やむなしだと思います。

1.子どもの特性が明確で、その特性にあった学校がある。

公立中学・高校は、どちらかというと勉強・スポーツ・社交性がオールラウンドな生徒を求める傾向にあります。とがった才能は埋もれたり軽視されがちです。自分の確固たる世界観や得意分野がある子供は、その分野を伸ばせる中学校に進むのがよいと思います。

2.地元の中学校が荒れている。

多様性は大事ですが、悪い方に振り切っている場合は関わらないほうがよいです。地元の中学校が荒れていて授業が成り立っていない場合や、関わりたくない生徒・保護者がいることが分かっている場合は当然避けるべきで、その場合は私立中学校が受け皿になります。